• Akiko Yamanaka

他人の行動を理解できないと思ったら、あきらめる前にしておきたい大切なこととは?


ストレスを軽減し、心を安らかにし、幸福感をもたらしてくれるマインドフルネス。でもマインドフルネスを実践するためには、まず物事を「ジャッジ」しない心を持つことがカギとなると言われています。「ジャッジ」しないというのは、自分が持っている信念や価値観を通さずに物事や人を見るということです。


私たち人間は、一人一人異なるレンズを通して物事を見ています。このレンズは、私たちそれぞれの感情であり、それぞれの経験からくる思い出などからできています。私たちは、常に物事や人生に対して、それぞれ違う反応を示したり行動をとったりしています。したがって、他人が人生にどのような姿勢で取り組んでいるかについて意見したり、あるいは他人がどうすべきかについて「正そう」とするのは、公平なやり方ではないということも認識しておかなければいけないでしょう。なぜなら、他人がなぜそのような行動を起こすのかという理由を私たちが正確に理解することは、とても困難だからです。


皆さんにも「他人を理解しようとしたけれど、無理だった」「他人の行動を理解できなかった」と思った経験が何度かあると思います。でも、それは理解しようとしていたのではなく、あなた自身のレンズ(価値観、信念)を外すことなく、その人を見ていたのに過ぎません。つまり知らず知らずのうちに他人を「ジャッジ」していたのかもしれません。



私たちは同じものを見ているようで、違うものを見ている


私たちはそれぞれ生きてきた過程で、それぞれ異なる様々な経験をし、それぞれ異なる様々な知識を身につけてきました。そういった知識や経験は、私たちの行動心理にも大きな影響を与えると言われています。その上、私たち人間は、現在目の前で起こっている物事に対して直接的に反応しているわけではなく、人生の中で培ってきた経験をもとにして、条件反射を起こしていたり、自分自身を「演じて」いたり、大袈裟に反応したりしていると考えられています。つまり、現在目の前で起こっていることそのものを「そのまま」理解している人は少なく、私たちそれぞれの見方によってある程度脚色されているというふうに考えた方が良いでしょう。



それではどのようにしたら、私たちは「ジャッジ」しない心を身につけることができるのでしょうか? 「他人のことは一生理解できない」とあきらめるのでしょうか。「理解できない相手を無理して理解する必要はない」と思うべきでしょうか。あきらめるのは簡単ですが、そうすれば結局、「他人を批判」したり「ジャッジ」する行為に陥ってしまうことになります。


相手の靴を履いて歩いてみる!?


他人や物事を「ジャッジ」しないよう心を整えるためには、何よりまず「相手の立場になって考えようとすること」を率先して行うことが大切だと言われています。英語では、相手の立場になって考えることをPut yourself into someone’s shoes(他人の靴を履いてみる)という言い方をしますが、その意味は、ある状況や立場を違う目線で見てみるという行為となります。自分とは異なる意見の相手になったつもりで、いつもとは違う目線で世界を見てみる努力をしてみること。そこには、賛成も反対もなく、正解も不正解もないことをまず意識してみてください。


もちろん、他人になったつもりで他人の目線から世界を見ることができるようになるのは非常に難しいことです。私たちにはそれぞれ異なる信念のシステム、過去の経験、経済や文化的なバックグラウンド、それぞれの歴史があります。誰でも、自分自身やそのしがらみから離れることは難しいと感じることでしょう。



まずは自分自身の殻の中から一歩離れること


そんななか、自分の感情から少しでも離れて、物事を外側から客観的に観察できるようになるトレーニングが、マインドフルネスのメディテーション(瞑想)だと言われています。マインドフルネスのメディテーション(瞑想)は、頭の中を無理に無にすることでも、リラックスするためのものでもありません。自分の思考を自分の外側から観察できるようになるトレーニングです。メディテーションをしながら、「自分は普段こんなことを考えているな」「ああ、自分はこんな時にこんなふうに感じるんだ」というふうに、自分自身から一歩離れて、自分自身を観察することで、自分の感情に縛られない方法を学ぶことができるようになると考えられています。


まずは、自分自身の殻の中から一歩離れること。そして他人の靴を履いてみる(自分とは異なる他人の目線から世界を見ようとする)こと。そうすることを重ねることで、物事や他人を「ジャッジ」しない安定した心を身につけることができるようになると言われています。